GAME
その彼女の期待をあたしは裏切る。



「いえ…あの…」



申し訳なさそうに、か細い声で続けた。



「坂野さんだけ提出されていないんです」


「あら…。
 あの子、
 最近あんまり提出出来てないのよね~」



柔らかい物腰で先生は


「困ったわ」という表情を浮かべていた。



かかった。


あたしは思わず心の中で


ガッツポーズをした。


笑みも零れそうだった。


だめ。


まだだめ。


職員室を出るまでは‘いいこ’を演じなきゃ。


そうしないと


このゲームは成立しないの。



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