GAME
「あの…えっと。
 坂野さんの荷物を持ってきた
 渡辺です」



あたしはドモりながら


一つ一つ説明するように


インターフォンに語りかけた。



『クラスメイトの方かしら?
 ちょっと待ってて貰える?』



優しい口調のご夫人は恐らく


坂野の母親だろう。


門の向こうから、


この家のイメージに


ピッタリな印象の夫人が登場した。



「わざわざありがとう。
 良かったらあがって行って」



にこやかに語りかけてくれる彼女は


「あ。」


と小さく声を上げてこう続けた。



「真由の母です」



と丁寧にお辞儀をしてくれた。


「ふふふ」と笑いながら


「順番が逆になっちゃったね」と言っていた。


とても愛らしい人だ。


< 63 / 72 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop