GAME
あたしのドキドキは治まらない。


恋とは違うドキドキだった。


小刻みに震える指先を伸ばして


白い鍵盤をポンと軽く叩いた。



―…♪


高い天井に舞い上がる音。


シャボン玉みたいにふわりと舞って


静かに消えた。



「ごめんなさいね。
 お待たせしちゃって」



カチャカチャとガラスのものが


小さくぶつかる音が聞こえた。



夫人がティーポットとティーカップそして


お皿の上に上品そうな焼き菓子が


数個乗っていた。



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