《短編》夏の雪
プロローグ
思い返せばあれは、真夏の夜の夢のようで。
でも、決してそれは、悪夢なんかじゃなくて。
優しくて、あったかくて、そして、冷たかった。
熱に浮かされたように求め合って、だけどそこには愛も恋も何もなくて。
薄命っぽくて、
明日のことなんて考えてなくて、
とにかく自由が似合う、
好きなことだけしてる人。
例えるなら、まるで、風のような、雲のような、刹那で生きる人だった。
そしてあの人は、
夏の終わりと共に消えた。
彼は今も生きているのだろうか――。
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