《短編》夏の雪

act 3


面倒くさいテストが終わり、それからすぐに、夏休みに突入した。

あたしと彩音は、宣言通り、遊び呆けていた。


いやぁ、進路が決まってるって、素晴らしいね。



「てか、何その頭!」


まるであたし達が夏休みに突入するのを見計らったように、雪ちゃんの頭は、金色をさらにブリーチし、銀色みたいになっていた。

つーか、白髪?



「やばいって! 髪死んじゃうよ! てか、馬鹿丸出し! しかも何で裸?!」


あたしは雪ちゃんを指差し、笑い転げる。


雪ちゃんは銀色の頭で、上半身の服を脱ぎ捨てた恰好のまま、あたしを迎えに来たのだ。

笑うなという方が無理がある。



「俺の車、最近エアコンの調子悪いから。で、暑いしどうしたものかと思ってさ」


飄々と言う雪ちゃん。


いくら夜だからって、裸で運転してここまで来ただなんて、相変わらず自由な人だ。

対向車の人がびっくりするよ、と、言おうと思ったけど、そんなことを気にする人なら服くらい着るよねと、自分で自分に突っ込んでおく。



「夏美ちゃん、笑い過ぎ」


さすがに笑い過ぎのあたしを、雪ちゃんは困った目で見るが、



「だってあんた、ぶっ飛びすぎなんだもん! あたしこんな色の頭、実際に見たの初めてだよ!」

「テーマはウルフですから」

「狼男ってこと?!」


雪ちゃんの言葉にツボってしまう。


常に楽しいことばっかりやってる雪ちゃんといると、ほんと飽きない。

びっくり箱みたいな人。
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