《短編》夏の雪
その数日後、本当に4人で遊んだ。
彩音は雪ちゃんの腕に絡まって、嬉しそうな顔をしていた。
雪ちゃんは雪ちゃんで、楽しそうな様子だった。
また海に行った。
修司くんはいつも通りの無口で取っ付きにくい感じに戻っていた。
だからあたしは、きっと暑いのが苦手なんだろうな、と思っておいた。
みんながみんな、その時だけを、場当たり的に楽しんでいた。
面倒なことはすべて、灼熱の日差しが焼いてくれる。
むき出しの肌と本能。
おもむくままにって感じでいい。
夏は短い。
かげろうのように、曖昧にだけ過ごせる時間を、恋愛感情なんてもんに邪魔されたくはない。
くだらない思考はとっくの昔にアイスと一緒に溶けた。
棒っきれだけが残されて。
あたしみたいなもんだと思った。
ハズレの棒。
帰り際、修司くんは女のところに行き、先に彩音を送った雪ちゃんは、あたしの体を求めた。
陽に焼けた肌がひりひりしてた。
それがシートにこすれて痛かった。
雪ちゃんの汗はしょっぱかった。