《短編》夏の雪
あたしはため息混じりに、初対面の修司くんと共に後部座席へ乗り込んだ。
積極的なのはいいが、少しはあたしのことも考えろっつーの。
こうなることは予想済みだったとはいえ、ものの数秒でとは。
冷房のガンガンに効いた車内で、あたしは息を吐く。
「いいね、高校生。つーか、制服が」
煙草に火をつけた修司くんは、横目にあたしを一瞥する。
ボブ・マーリーみたいな人だと思った。
「目当ては制服?」
「いや、中身もだけど」
顔色ひとつも変えることなく、平然と言う、修司くん。
「修ちゃん、口説くの早いよー。そういうのはもうちょっと後」
笑いながら、それを制するように運転席の雪ちゃんが、ルームミラー越しにこちらを見やる。
はたして無事に帰れるのか。
あたしは小さく肩をすくめる。
「ったく、何時間後の話してんだか」
呟いて、不貞腐れる修司くん。
運転席でまた笑った雪ちゃんと、こちらのやりとりなんてお構いなしに、運転中の雪ちゃんの腕に絡まっている彩音。
事故だけはしないでね、と、あたしは祈る。
「ねぇ、それよりどこ行ってんの?」
「内緒でーす」
「あっそ」
あたしはもう投げやりだった。
まさかホテルじゃないよね?
なんて台詞は、本当にそうだったら嫌なので、口にはしない。
積極的なのはいいが、少しはあたしのことも考えろっつーの。
こうなることは予想済みだったとはいえ、ものの数秒でとは。
冷房のガンガンに効いた車内で、あたしは息を吐く。
「いいね、高校生。つーか、制服が」
煙草に火をつけた修司くんは、横目にあたしを一瞥する。
ボブ・マーリーみたいな人だと思った。
「目当ては制服?」
「いや、中身もだけど」
顔色ひとつも変えることなく、平然と言う、修司くん。
「修ちゃん、口説くの早いよー。そういうのはもうちょっと後」
笑いながら、それを制するように運転席の雪ちゃんが、ルームミラー越しにこちらを見やる。
はたして無事に帰れるのか。
あたしは小さく肩をすくめる。
「ったく、何時間後の話してんだか」
呟いて、不貞腐れる修司くん。
運転席でまた笑った雪ちゃんと、こちらのやりとりなんてお構いなしに、運転中の雪ちゃんの腕に絡まっている彩音。
事故だけはしないでね、と、あたしは祈る。
「ねぇ、それよりどこ行ってんの?」
「内緒でーす」
「あっそ」
あたしはもう投げやりだった。
まさかホテルじゃないよね?
なんて台詞は、本当にそうだったら嫌なので、口にはしない。