《短編》夏の雪
あたしの高3の夏は、こうして終わりを告げた。
彩音はその後、「いきなり雪ちゃんと連絡取れなくなった!」と不貞腐れていた。
あたしはその言葉で、彩音のおかげで雪ちゃんと知り合ったんだったと思い出した。
彩音に感謝だ。
彩音があの時あたしを誘ってくれたから、忘れられない夏になったのだから。
もう、高校生活に悔いはない。
散々遊びすぎて、あたしはそれから、一皮剥けたように落ち着いた(と、あの頃を振り返ってお母さんが言っていた)。
楽しかった。
だからあたしの中ではいい思い出。
あたしは今も、どこかで元気につまんない人生を送ってるであろう雪ちゃんのことをふと思い出しては、「頑張れよ」と心の中で伝えてあげてる。
届いてるといいなと思いながら。
幸せになれと願ってる。
季節が巡る。
夏が終わったら、また新しい秋が来る。
でももう二度とはない、あの夏の日々を想う。