出会いは偶然 恋は必然
-隆樹sid-


あれは、小学校の時だった。


リトルリーグで野球をしていた俺は、暗い夜道を家に帰る途中だった。


「うっ・・・ひっく・・・」



女の子の泣き声がした。



幽霊かと思って怖かったけど、好奇心に負けて声のするドアを開けた。



そこには、きれいな花園があった。


その真ん中で、一人泣いている女の子がいた。



天使かと思った。



だけど違った。そのこは、触れたら壊れてしまいそうなそんな子だった。



俺はただ、呆然と見とれることしかできなかった。



何分たったかもわからなくなったころ、俺は我に返って帰ろうと振り返った。


だけど、ドアの前に一人のおばあさんが立っていた。



「しー」



人差し指でジェスチャーしたおばあさんは、こっちへおいでと手招きした。


「あの、すみませんっ!勝手に入ってしまって」


俺が素直に謝ると、おばあさんは微笑んだ。



「ただで許すわけにはいかないねぇ」



「本当にすいませんでした。ただ、あの女の子の泣き声がしたから・・・」



「ほぉ。聞こえたのかい。あの子の声が・・・。そうかい。聞こえたのかい・・・。」



「あの・・・。どうしたら許してもらえますか?」



「そうだねぇ。あの子、私の孫の優羽っていうんだけど、昔から辛いことを辛いって言えない子でねぇ。いつもここで泣いてるんだよ。だけど私はもうすぐいなくなってしまうから、私の代わりにあの子を見守ってくれないかねぇ?」



「それだけですか?」



「私はそこまでいじわるじゃないよ。あと、この場所は君と私とあの子だけの秘密だからね」
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