【短篇】しおり-AquaTimez-
しばらく、お互いの顔を見て笑った後、俺は言った。

「好きです。俺と付き合ってください!
もっとユカちゃんが知りたいんだ。」
「………はい。」

返事をした後、彼女がニッコリと笑う。俺も自然と顔がほころぶ。

「私もマサキくんが…好き。あたしで良かったら、お願いします!」

まさか、お互いに一目惚れだなんて思わなかった。
…もっとも、俺だって自分の気持ちに気付いてビックリしているのに…。



電話番号とアドレスを交換し、また駅の時計台の方へ向かって歩き出す。俺は、自然に彼女の右手を握ってみた。すると彼女も優しく握り返してきた。

歩くペースも自然とゆっくりになる。
お互いにしばらく会話がなくなる。だけど、この手から伝わるぬくもりが、そんな空気を打ち解かしてくれる、そんな気がした。
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