【短篇】しおり-AquaTimez-
歩くペースはゆっくりだったはずなのに、時計台に着くのはあっという間で、二人が離れる時間が、もうすぐそこまできていた。

どちらからともなく、ゆっくりと手をほどき、俺達は別れようとする。

「じゃあ、また明日!17時に時計台で待ってるね!」
「うん!!…じゃあ、おやすみなさい!」
「うん。おやすみ!」

彼女が帰ろうとした時、俺は両手を彼女の肩に乗せ、おでこに軽くキスをした。

「!!」

ビックリした彼女の顔が赤くなる。

「おやすみ、ユカちゃん。」
「…おやすみ!」

彼女は、照れ臭そうに何度も振り返りながら帰って行った。

自分の大胆な今日の行動に、俺は自分でビックリしていた…。
< 15 / 68 >

この作品をシェア

pagetop