【短篇】しおり-AquaTimez-
「…あの娘、かわいいね。」
「…えっ?」
「スタンドで働いてるギャルっぽい女の子。楽しそーに仕事してたじゃん?」
ユカが悲しそうな顔をした。
「えっ?ギャル……?ちょっ、なんか勘違いしてる?っていうか、えっ?いつ来たの!?」
「この間…。3日前ぐらぃ…。まーくん、早く終わりそうだってメールくれたから、内緒で迎えに行こうとしたの。そしたら…。」
俺の正社員になる話が決まった日だ。スタンドまで迎えに来てたから、だから、ユカからメールの返事は来なかったんだ…。
ギャルっぽい娘、それはおそらくエリカのコトだろう。
確かにエリカは、最初は苦手な感じがしたけど、仕事は真面目で熱心だから、話をするコトは多かった。
だけど、誤解される程、親しくはなかった。
「あの娘は、ただのバイトの子だよ!ユカが誤解するよーなコトなんて何もないよ!」
「………。ちょっと、しばらく会うのやめよ?少しひとりで居たいから…。」
「………。」
俺は、そう言われ何も言えず、ユカのアパートを出た。帰る足取りはおぼつかなく、フラフラと自分の部屋に帰って行った。