【短篇】しおり-AquaTimez-
ユカがあんなに傷ついていたなんて想いもしなかった。
俺は、自分の仕事を二人の為と言いながら、忙しさにかまけて、ユカをないがしろにしてしまっていたコトに、全然気が付かなかった。
ここを乗りきればユカと一緒に暮らせる、それしか考えていなかった。


次の日、仕事中にミスをしてしまい、マネージャーにこっぴどく怒られた。エンジンオイルを交換するのに、ボーっとしててプラグを外した時、オイルを床にぶち撒けてしまったのだ。

昼休憩で、吉田さんと近くのコンビニに行った時、吉田さんが俺に聞いてきた。
「今日、どーした?いつものお前らしくないぞ!?何かあったか?」
「………。」

俺は少し黙った後、吉田さんに、何があったかを話した。
俺が、ユカの為に正社員になれるよーに頑張ってたコト、ユカがスタンドに来て、エリカのコトを勘違いしてしまったコト、そして、ユカと別れそうになっているコト。
すると、吉田さんが言った。

「ん〜、お前が、頑張ってたコトは間違ってない。だけど、彼女が寂しかったってのもわかるよ。でも、正社員になれば少し落ち着くんだからさ、ちょっと様子見てみた方がいいんじゃないかな?」
「ハイ。彼女も少しひとりにしてほしいって言うし、俺もちょっと時間空けた方がいいかな?って。」

吉田さんは、俺がバイトに入った時から、何でも相談に乗ってくれていた。
そして、吉田さんは俺に少し様子をみるよう促してくれた。
< 44 / 68 >

この作品をシェア

pagetop