【短篇】しおり-AquaTimez-
「…ハァハァ…。キミ…ユカちゃんの…ハァハァ…彼氏でしょ?…」
息を切らしながら、その店員さんは言った。
「…ハァハァ…、何があったかは知らないけどさぁ…ハァハァ…、ユカちゃん、すごぃ…悩んでたみたいだったょ。…ハァーッ…。……あの娘思い詰めんのなんてさ、よっぽどだからさ、なんかあったんでしょ?」
やっと息が落ち着いたのか、彼女は腰に手をあてて、俺を軽く睨むように言った。
「…俺……、ユカを傷つけたんです…。」
その店員さんはちょっと驚いた顔をした。
「俺、ユカのために、って頑張ってた仕事の忙しさにかまけて、ユカをほっときすぎちゃって、彼女に寂しい想いをさせちゃったんです……。」
俺が、次の言葉を発せずに黙っていると、
「彼女は……、あの娘は?なんかサイン出してなかったの?」
「俺は……、気づいてあげるコトができなかったんです…。」
店員さんは親指で左の方を指さし、隣にあった公園に俺を誘った。公園の自販機でジュースを買い、その隣にあったベンチに座り、俺はその店員さんにいろいろ話をした。
するとその店員さんは、
「…そっかぁー、そーなんだぁ。ユカちゃん…、あんなに落ち込んでたのにさー、急に『アメリカ行くコトに決めました!』って言って、バイト辞めたんだよねー。詳しいコトも聞きづらかったから、そのままになっちゃったんだけどねー。』
そして、店員さんは言った。