【短篇】しおり-AquaTimez-

「……あのっ!…ユカの実家の場所ってわかりますか!?」
「……わかるよ。でも……、それ聞いてどーすんの?あの娘の実家に行って、今の想い告げて彼女引き留める?」
「…それは、その……。」
「キミはそれで満足かもしれない。でも、それって彼女の為になるのかなぁ?…彼女の夢を叶えさせてあげるのも、彼女の為になるんじゃないの?」

確かにそうかもしれない…。確かに、俺がユカに会ったら、アイツは留学の話を、今度は本当に諦めてしまうかもしれない。
でも、ユカを傷つけたままだと思うと、俺は一生後悔するかもしれない、そう思った。

店長さんは、俺にこう告げた。

「本当に、彼女のコトを思うなら、黙って送り出してあげなよ!
彼女も、キミに会うと決心が鈍るから、キミに会わずに行ったんじゃないかな…?
…確かに、彼女は勝手すぎるかもしれない。
でも、キミに負担をかけるなら、身を引いてアメリカに行こうと思ったんじゃないかな?


彼女は、また夢を追おうとしたんだよ。
……あとは、ぅん…キミが、自分自身で答えを見つけないといけないんじゃない?」



話をしてるうちに、俺は洗車を終わらせていた。


俺は、花屋の店長さんにユカの夢を見守るコトを告げ、車を送り出した。
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