【短篇】しおり-AquaTimez-
17時。
次の日になり、いつもの時間にバイトが終わり、いつものように川沿いの細い道を歩く。

いつもと同じ時間、いつもと同じ場所、帰り道すら何ら変わりはないのに、今日はいつもと違う。あの娘に会える。
駅の時計台が見えるこの坂道も、全然疲れを感じない。昨日、ユカちゃんから突然誘いを受けてビックリしたけど、本当は、俺の方が嬉しがってるのかも知れない。


浮き足立ったまま、俺は駅に着いた。時間は17時2分前。これもいつもと変わらない。
今日もそよ風が気持ちいい。もう夏になるんだな。

17時になり、時計台のチャイムが17時を知らせる。2分半前に電車が到着したから、もうそろそろ来るだろう。


チャイムがなって2分半経った時、駅の出口の人混みの後方から彼女が小走りでこっちに駆け寄ってきた。
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