残 酷 愛 香

奇跡なんか無いと言う奴も、世の中には大勢いるかもしれないが。

俺にはあの日、奇跡が確かに起きたんだ。

現場を後にしたのは、長くなった夕暮れの終わる頃だった。

『名前は鼓です。娘の名前は響((ヒビキ))。』

鼓。

トラックのハンドルがいつになく、軽かった。

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