バンドに賭けた思い(仮)
『ここかな…』
『軽音部』と書かれた部屋の奥からはリズミカルな音が流れていた
邪魔しちゃいけないからそっと入ろう…
そっと入った私は強く胸を打たれた
『…凄い』
雷斗君のギターの迫力…四人の中で一番背の低い亮くんの信じられない存在感…いつもクールで無表情な理人君の生き生きとした表情…寝てばかりいる薫君のみんなをまとめるようなドラムの叩き…
誰もかも私の知らない彼ら…
『…伝わったよっ…半端ないぐらいの本気…』
私は動けずにずっと聴き続けた…
バーンッ…
聴き続けていると突然数人の男子が入ってきた
「よぉ!お前らボーカルもいないのにいっちょまえに練習か?」
「あと二週間なのにボーカルもいないなんて…勝つ気あんの?」
入って来るなり四人を馬鹿にする人達
それでもお構いなしに練習を続ける雷斗君達
「ははっ…何も言えないってか?」
「本気でやる気あんの?楽器だけ立派に揃えちゃってさ〜」
…許せない
私は底知れない怒りが沸き起こった
みんなが練習している姿を見てあんなこと言うなんて…
必死に怒りを堪える私に一人の男子が言いはなった
「こんなんじゃボーカル入れても無駄だな…無駄な努力〜♪」
プチンッ…
私の中の何かが切れその勢いで私はその人を殴っていた
パチーン…
『馬鹿にしないでよ…』
「蒼羅!?」
「何だこいつっ」
『本気でやってるのが分からないの!?こんなに真剣にやってる人達を何で馬鹿にするの?そんなにあなた達のバンドは凄いわけ?』
「蒼羅…」