茜の空
『ハハハ!なるほどね。ていうかどこ行くの?』
ヘルメットかぶりながら聞いたけど、
『それは着いてからのお楽しみ~♪』だって。
バイクにまたがった。
2ケツ懐かしいな~なんて思いながら……ん?手はどこへ?
『乗った?』
『え?あ、うん。』
エンジンをかける前に、霧島くんは
少しだけ顔をこちらに向けた。
『俺、今日誕生日なんだよね!!』
プッと吹き出してしまった私。
それ前言ってたじゃん、って。
『おめでとう!!』
確認するように言う霧島くんが可笑しかった。
『だから…今日は俺の願い叶えてもらっていい?』
『え…?』
何言うんだろう?って横顔を覗き込んだら、ニッと笑って君はこう言ったの。
『今日だけ、俺の彼女ね。』