茜の空



『えっ……!?!?』



答える隙も与えられないまま、私の両手を引っ張って自分の腰に回させた。



やっぱバイクだとこうなっちゃうよね?抱きつく感じ。



『ちゃんとつかまっててね』と私の手を優しくポンと叩く。



彼の背中に、私の暴れる心音が伝わるんじゃないかって逆に焦る。



信号待ちだと、お腹あたりで服にしがみつく私の手を握り返してくれたり、バイト先であった笑い話などをしてくれた。



終始、私の心臓はドキドキしてるのに、君は涼しげな顔をしてる。



またしても、私のペースは乱されているのか……。



30分ほど走ると、観覧車やジェットコースターなどが目に入る。



『あっ!!遊園地!!』



思わず声に出したら、横顔だけでニッコリ笑ってる。



パーキングエリアにバイクを停めて入場ゲートに向かう。



『俺、遊園地とかってイメージないだろ?』



『うん。だから意外~!!って思った。』



ま、デートの定番だけど、かなりテンション上がってる自分がウケる(笑)。










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