茜の空
『友香、アレ乗ろう。』
恥ずかしそうに君は、観覧車を指差した。
『絶対言うと思った。』
『はい、ベタですみません。』
見つめ合って笑って、私は頷いた。
強く手を握りしめて君は私を引っ張って行く。
もう、どうにでもなれと思った。
だってもうすでに、心の中に深く浸透してる。
今だけは生徒じゃない君に支配されてる。
今だけはね……。
君が何かをするたびに私の心は踊り、
君が何かを言うたびに強く惹かれてる。
そのたびに、私は自分に言い聞かせなければならない。
でももう限界なのかな。
身体と気持ちが釣り合ってくれないの。
それは君のその優しい笑顔が私を麻痺させてるからだね……。