茜の空



『3回目でねぇ……。』



真剣にケーキを眺めて呟かれる。



やっぱりダメか。
なんか、無理っぽい。



これが現実なんだと噛みしめる。



所詮、私はセミプロ…。
資格を持った一般のパティシエールに
すぎない…。



1人だけ舞い上がったりして、
カッコ悪……。



『どうして……』



長谷川先生の声に顔を上げる。



『どうしてこんな味が出せないのかしら…。』



え?なに?どういう意味?
今なんて言った?
こんな味しか出せないのかって?
(゚◇゚)ガーン……。



長谷川先生の言葉は続く。



『プロとして、試作を繰り返すうちに本来の味を見失いそうになるのは優秀なパティシエールとは言えないわ。』



うぅ……わかってます。
おっしゃる通りです。
でも面と向かって言われると
キツイな……。









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