茜の空
『はい…スミマセン。』
『でも、この味を出せてないうちのパティシエも優秀とは言えないわね。』
長谷川先生の言わんとすることが
緊張のあまり、理解し難い。
『だからやはりあなたには可能性がある。』
『はぁ……あ、はい。』
頭上には【?】がいくつも浮かび上がっていた。
『今回の味は、お店で食べた味より少し甘みが濃い感じがするけど、まぁ良しとしましょう。このまま、この道へ進みなさい。この味を、追求し続けてほしい。』
『ありがとうございます。』
『そしていつか、私のお店で働きなさい。技術を身につけて、あなたの夢を叶えてほしい。いずれ独立する日まで、私のブランドを背負っていただけないかしら?』
淡々と言われた内容だけど、
ものすごく大きなスケールの話である
ことは誰が聞いてもわかる。
『あの、おっしゃる意味がわかりません。』
恐る恐る言うと、ニッコリ微笑んだ。
『ふふふ、この長谷川鈴江があなたの腕を買いたいと懇願しているのだけれど?』
ハハハ、そういうことね。
って!!!!!!
『えええぇぇっ!!!!!!』