茜の空
『なに?知り合い?』
私と霧島くんを交互に見ながら
興味深そうに朋美が聞く。
慌てて私は彼から目線を外し、
事情を説明する。
『あ…うん。うちの生徒さんで、霧島準くん。』
『ども。ていうかさっきはスミマセンでした。』
そう言われて、生徒手帳を思い出し
カバンの中から取り出した。
『えっと…コレ。多分ぶつかった時に落ちたんだと思う。』
一瞬驚いた顔を見せたが、
『ありがとう』と笑顔で受け取った。
朋美は霧島くんを見て、嬉しそうに言う。
『そっかぁ~、うちらの後輩かぁ。友香の友達の池内朋美です。たまに来るからよろしくね!』
彼はニッコリ笑って私たちを席まで
案内する。
席につくなり朋美ははしゃいで
『かわいいね、彼。いいな~友香は。あんな若い生徒が相手で。あわよくば恋愛まで発展しちゃったりなんかして~!キャー!』
また始まったわ…と苦笑い。
朋美はよく妄想に走る。
それを止めてあげるのが私の役目なんだ。