茜の空
それを制するように言葉を発した。
『ごめん……!』
近付く顔が止まった。
『ごめんね…。私たちは…このままの方がいい。私は、修二のこと…そんなふうには見れないよ。』
手を握る修二の力が強くなる。
『…じゃあ、なんでキス受け入れたんだよ!呼べばすぐ来るし…普通そうだと思うだろ…?俺の勘違いなわけ…?』
最後は消え入りそうで声になってない。
ひどく肩を落として、握る手から
力が消えた。
ここでもう一度『ごめん』と言えば、
修二のプライドを傷付けてしまいそうで
怖くなる。
ゆっくりと手が離れた。
『ハハ。今の俺、カッコ悪いよな。ごめん。』
謝るのは私の方だ。
次の言葉が見つからず、沈黙が続く。
修二も、一点を見つめたまま
何かを考えているようだ。