茜の空
『じゃあ、帰るわ。』
修二はそう言って、車のドアに手をかけた。
『送るよ。』
『いや、いいよ。俺がわざわざ呼び出したんだ。ここでいいよ。』
『…わかった。』
車から降りて、ドアを閉めようとした時。
『修二……!!大阪に行く日、わかったら連絡ちょうだい。』
一瞬、修二の顔に影が見えた。
『なに?見送りに来てくれるの?平日だよ?』
『行けたら…行くから。』
最後は微笑んでくれた。
ドアを閉めて、歩き出す修二の背中を
見えなくなるまで見送った。
結局、私は何も修二に与えてあげれてない。
自分勝手な理由で、傷付けた。
でもこれ以上曖昧な態度は出来ないし、
言葉も選んでる余裕もなかった。
ごめんね…修二。