茜の空
とりあえず急いでついて行く。
人ごみをすり抜けると、階段が見えてきた。
階段の端にでも、平気でキスしてる
カップルもいる。
いや、カップルじゃないかも…。
目を背けながら階段を上がって
いる途中、マスターが振り向きながら
教えてくれた。
『彼なら2階にいるよ。茶髪だし間違いないと思う。』
徐々に高鳴る鼓動。
2階は1階より狭く、VIPルームと
いった感じだろうか。
仕切りされた空間にソファーが並ぶ。
『ほら、奥にいるよ。』
指差した場所に恐る恐る近付いていく。
近付くたびに聞こえる甘い女の声。
ねぇ、準なの?
そこで何してるの…?
『彼、高校生だろ?』というマスター
の声に振り返る。
『ここは未成年の来る場所じゃない。連れて帰ってやりなよ。』
ニヤリと笑ってそう言った。