茜の空
『一緒にいるのは女ですか?』
『あぁ…そういや彼のことをえらく気に入った子がいたなぁ…。彼女うちの常連さんだから。』
早くそれ言えっての!!
それぞれに囲いされた空間から嫌な
女の喘ぎ声や吐息まじりの声が聞こえてくる。
強張る私を見て、マスターは
クスクス笑う。
『怖いんなら止めとく?』
んなわけないでしょ。
『いいえ。ただし!もし、その女が彼に何かしてたらタダじゃすまないですよ?』
冷めた表情だったと思う。
驚いた顔したマスターを残し、ゆっくり
と奥まで進み、気付かれないように
中を覗いた。
ソファーに座り、俯いているのは
間違いなく準だった。
心臓がドクンと波打つ。
その隣に座るのは、キャバ嬢的な女。
さっきからやたら耳障りな甘い声。
『ね~ぇ、準くん。』と言いながら
俯く準の顔を自分の方に向ける。