茜の空
私はそれを無視して、もう一度準に
言葉をかける。
『帰るよ。』
そう言うと、初めて準は顔を上げて
私を見つめる。
『帰るってどこにだよ…。もう戻る場所なんてない。』
力ない声。目も死んでる。
すると、またしても女が口を挟む。
『一緒に居たくないみたいよ?じゃあ、準くん。違うとこ行こう?』
立ち上がり、準の手を引っ張った。
このバカ女…消えろ。
と思いつつ、一旦女を座らせる。
怒りはすでに頂点に達していた。
しゃしゃり出る女に一言。
『あのさぁ、私が笑ってるうちに帰りな。』
低い声が全てを物語ってる。
でもバカ女はそれに気付いてない。
もう一度立ち上がり、私に罵る。