茜の空
進路を決める時も、
『友香と離れるのは嫌だ』と言って、
正樹も同じ大学へ進学した。
ここからが正樹の束縛の始まりだったね。
『他の男と喋っちゃダメ』
『休みの日は一緒にいる』
『隠し事はなし』
『帰りは絶対一緒に帰る』
『帰ってからは電話』
電話も何度かシカトすると、会いに来る
ほどだった。
『友香はモテるんだから自覚しないと
ダメ!』と何度も言う正樹。
初めは嬉しかったけど、徐々に重荷に
なっていく。
好きだけど、重い。ウザイ。
そんな折、大学側にかつて希望を
出していた留学の話が持ち上がる。
でも私は言ってなかった。
正樹に、自分の夢も、留学を希望したことも。
言えなかった。
言い出せなかった。
授業が終われば真っ先に駆けつけてくる。
そんな正樹が、嬉しいはずなのに
笑えてない自分にようやく気が付いたの。