茜の空
気が済むまで拭いたら、
思いのまま準の唇を塞いだ。
運転席から身を乗り出して
唇を重ねる私。
恥じらいとかそんなの
もうどうでもいい。
あのバカ女の痕跡を
跡形もなく
準から消してやりたかった。
ほんの数秒の濃厚なキス。
準は体が固まってる。
びっくりしてるんだろな……。
唇は一瞬離れるが、気持ちが
収まりきらずに強く求めてしまう。
通りすがる人の目も気にせず、
ただ求める。
再び唇が離れた時にふと我に返り、
エンジンをかけた。
『もう…二度とあんなことしないで。』
前を見つめたまま準に言う。
『…うん。』