茜の空
『…この前の続き、話していいかな?』
そう切り出すと、準も真剣に頷いた。
『準が私に夢を教えてくれた時、すごく嬉しかった。私も…背中押された気がしたの。ホントはずっと悩んでて…このまま一気にパティシエになるか、もう一度留学するか。』
焦ってなったとしても、果たして
納得のいくものがこの手で作り出せるのか。
自分に足りないものは何なのか…。
真っすぐに私を見つめる準の瞳に
全てを打ち明けた。
『萩原先生から期間延長の話が出た時、とっさに私は留学を選んでたの。もしここで留学を選ばなかったら自分が自分でなくなる気がした。』
でも準にしたら、唐突すぎるよね。
怒るのも無理ない。
『勝手に決めてゴメンナサイ。相談もしないで決めて、怒って当たり前だよね…。でも、私がこんなこと言える立場じゃないことはわかってるんだけど………。』
押し寄せる感情に言葉がつまる。
『言って。』
準が口を開いた。
『いいよ。言って?今、友香が言おうとしてること全部言って。俺、ちゃんと受け止めるから。』