茜の空
いつもと変わらない、2人きりの
帰り道。
正樹は今日あったことや他愛もない
話をしてる。
そっといつものように門を出て
少し歩いたところで私の手を引く。
やりきれない気持ちが完全に私を
支配し、スッと握る手を離した。
立ち止まる私に気付き、
『どうかした?』と何ら変わらない
態度の正樹に、限界を感じたんだ。
『もう…終わりにしない?私たち。』
あの頃こう言うしかなかった不器用な
私を許してとは言わない。
でも、言う方が何倍も辛かったんだよ。
真っすぐ私を見つめる正樹。
『マサがしてくれること全部…重い。』
『俺のこと嫌いになった?』
黙ったまま、違うと首を振る。
『でも、もう付き合えない…。一緒にいるのが…辛い。』
一言一言が、相手を傷付けていることは
わかってる。
けど伝えなければ、自分が自分で
なくなることもわかっていた。