茜の空



校長がにこやかに説明してくれた。



『もしあなたが教師を続けると言えば私は諦める、でも留学やパティシエの道を選んだなら私は遠慮なく彼女を預かる。長谷川さんは私にこう言いました。一応、私も賭けてたのですが、あっさり負けてしまいましたね。』



申し訳ない気持ちでいっぱいになり、
私は校長先生に頭を下げた。



長谷川鈴江氏は声高らかに笑う。



『やっとこの時がきたわ。待ちわびていたのよ?あなたがいつ留学を決めるのか。』



『あ、でも私、ちゃんと自分で…』



『ダメよ!言ったでしょう?少しの間、私に人生を預けなさい。短期間で育て上げてみせるわ。早くあなたの創り出すブランドと張り合いたいのよ。』



『でも、これ以上先生にお世話になるわけには…』



『世話をしてるなんてこれっぽっちも思ってないわよ。あなたは行かなくちゃいけないの。こういうのは勢いが大事よ。全ての手続きは出来てます。出発はあなたが決めなさい。』



優しく微笑む長谷川先生の目を見て、
神の導きが目の前まできている気がした。



『…ありがとうございます。ではお言葉に甘えて、出発は…2月19日でお願いします。』



あと2ヶ月余り。












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