茜の空
正樹の姿が涙で歪んでいく。
『ごめん…。』
最後の力を振り絞って言った。
ゆっくりと正樹に背を向ける。
止まらぬ涙を拭いながら一歩、一歩と
遠ざかる。
『友香!』
背中越しに伝わる正樹の鼓動。
『ごめん。俺、友香の気持ちに気付かなくて。そういうとこちゃんと直すから、終わりなんて言うなよ。』
この手を振りほどけば、全てが終わる。
それでも振りほどかなければならなかった。
ゆっくりと離れていく身体。
もう後戻りは出来ない。
『ごめん…。』
今までの想いをこんな一言で片付けて
ごめん。
でも、これが精一杯だったの。
私はその場から走り去った。