茜の空
数日後、私は大学側に申し出た。
『この前の留学の件、よろしくお願いします。』
『やっと決心固まったか?』
『…はい。』
すでにこの時には、私と正樹が別れた話で持ちきりだった。
周りの友達は『友香が後悔してないなら
』と応援の姿勢を見せてくれたけど、
後で朋美に確認された。
『留学のこと、マサは知ってるの?』
静かに首を振った。
『言い出せなかった。』
その一言で何もかも察知してくれたかの
ように、朋美は何も言わずただそばに
居てくれた。
掲示板に今期留学者の名簿が貼り出された。
あれから何度か正樹とはキャンパスで
すれ違う。
互いに言葉は交わさない分、切なさが募る。
ただ時間だけが過ぎ去り、とうとう
留学日を迎えてしまった。