茜の空



学校ではもうすでに留学することは
噂されていた。



そして、いよいよ卒業式予行演習か
始まる。



それぞれの道が徐々に決まり出し、
みんなの顔つきも凛々しく感じられた。



昼間の顔と夜の顔。



私だけが知っている準の顔。



無防備な寝顔や寝起きの顔。



すねた時の顔、びっくりした顔、
口いっぱい頬張りながら喋ろうと
するクセ、寝ぐせを直しながら髪を
ねじる仕草。



ただいまの顔、大好きって言う
真剣な顔も…そのうち見れなくなる。



距離という壁を、乗り越えられるだろうか。



『明日だね……。』



準はポツリと呟いた。



明日は卒業式当日。



食後にコーヒーを飲みながら、
ソファーに肩を並べる。










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