茜の空



みんなと解散したあと、準と2人で
家に帰る。



手を繋いで、じゃれあって、
立ち止まってキスをして。



最後の夜。



いつになく、重なる体が熱く感じる。



『愛してる』って、こんなに温かい
意味を持つなんて考えたこともなかった。



離したくない、離れたくないという
想いと、手離さないと前に進めない
と言い聞かせる想いが交差する。



体に触れる準の指先からも、同じ
想いを抱えて葛藤する様が伝わってくる。



耳から聞こえる準の心臓の音が
孤独と寂しさを紛らわしていた。





約束通り、卒業式の翌日に日本を発つ。



2人並んで、空港内を歩いていると、
『友香ちゃん!』と声がした。



目の前には受け持ったクラスの仲間
たちと、大学仲間。



『お前ら…』と、準もびっくりしている
様子。











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