茜の空
空港までみんな駆けつけてくれて、
最後の別れを惜しんだ。
アナウンスが流れて、搭乗口へと
歩き出した時。
『友香!』と、大きな声が耳に飛び込んだ。
振り返るとそこには、久しぶりに見る
正樹の姿が見えた。
ただそれだけで、私の頬は濡れてる。
心のどこかでずっと引っかかっていた。
言わないままサヨナラしてしまうこと
に、悔いは残るとわかっていながら、
何も出来なかった現実。
目の前にいる正樹の姿が、嬉しくて
仕方なかった。
『…本当ごめん!俺、あれだけ長く付き合っていながら、友香のこと何も知らなかった。友香……俺は友香の夢のことさえ知らなかった。本当情けねぇ。』
正樹もまた、泣いていた。
頷くだけで精一杯だった。
『俺、友香の夢…叶うようにずっと応援してる。』
震える正樹の声が更に涙を誘う。
『ありがとう…。来てくれないと思ってた…。』