茜の空
『ずっと待ってる。』
ギュッと抱きしめて、迫り来る
時計の針を気にした。
別れの時は涙なしでは別れられない。
こぼれ落ちる涙を拭って『バイバイ』
顔を隠すように、準の体から離れた。
振り向かずにエスカレーターを降りる。
背中越しに手を振って、
後から後へと溢れ出す涙を隠した。
これは永遠の別れじゃない。
2人にとって、通らなければならない
道なんだ。
無理に自分を奮い立たせて、
搭乗口へ足を運んだ────。