茜の空
顔を上げると、2人の顔の位置が
かなり近い。
私は目をそらし、体を離す。
『私、タクシーで帰るね。今日はホントにありがとう。また、お店行くね。』
『じゃあタクシーつかまえるよ。』
霧島くんはそう答えて、大通りまで
出るとタクシーを止めた。
『ホントに気をつけてね。夜道危ないから。』
『うん。じゃあまた月曜日。おやすみなさい。』
『おやすみなさい。』
タクシーに乗り込み、ドアが閉まる。
窓越しで私はそっと、
“あ、り、が、と”と言って微笑んだ。
照れたように笑う霧島くん。
進み出したタクシーに手を振ってる。
私も見えなくなるまで手を振った。