茜の空
『………くな。』
耳元で修二は何か言った。
ガヤガヤした居酒屋。
『え?なに?』
少し声を張り上げて聞いたら。
『正樹のとこなんか行くなよ…!』
吐き捨てるように叫んだ言葉。
そんな修二の背中を優しく叩く。
『修二……。』
『ホントは正樹に会わせたくなかった。また取られちゃうんじゃないかって……。』
返す言葉が見つからない。
修二の想いが私には痛い……。
突き放せなくなる。
肩が震えてるじゃない……。
泣いてるの?
『修二……どうしたの?』
私は、どうすればいい?