茜の空



慌てて携帯の電源を付けると
ディスプレイが光り、
知らない番号が表示されていた。



えっ?ウソ!?もうっ!?



もしかして、



長谷川鈴江さん……?



_もしもし。長瀬です…。



恐る恐る電話に出ると少し間を
置いて、相手は言葉を発した。



_はじめまして。長谷川鈴江です。長瀬友香さんかしら?



息を呑んだ。



落ち着いた女性の声。



_は、はい…。



淡々と話してくれた事の経緯は、
カーリー店長から聞いたことと同じだった
ため、状況はすぐに把握できた。


_来週末には一度日本へ戻ります。その時にでも会えないかしら?



肩と耳の間に携帯を挟み、カバンの
中の手帳を取り出し、スケジュール
を確認する。



_はい。大丈夫です。あの、土曜日なら何時からでも。










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