茜の空
『教師は楽しい?』
食後の紅茶を入れながら
突然聞いてきた。
『…楽しいです。最初は、資金の為だと言い聞かせてましたけど、やってみると意外とやりがいのある仕事かな、と。』
これは本心だ。
やってみて、世界観変わったというか、広がった。
真剣に聞いてくれている長谷川先生も
『そう…。あえてその道を選んだのは正解だったかも知れないわね。』
うんうんと頷きながら話を進める。
『教師という職業は少なからず周りを見る目と、周りを育てる能力が自然と身に付くはずだわ。』
まぁ、そういう仕事だからね…。
『パティシエにもたまに居るのよね。技術はトップクラスだけど、それ故に協調性が乏しく欠けていたり、トップに付いた途端、努力を忘れる愚か者たちが。』
頷くだけで精一杯だから、話の意図が
よく理解出来ない。
『あなたの考案したロールケーキ。』
そう言われると思わず顔を上げた。