たんすの中の骨1
頭の中ではサイレンが鳴り響く。「なおくん」だ!「なおくん」だぞ!
「大丈夫ですか?」
慌てたようにそういって、彼は手際よく床にぶちまけられた私のファンシーな荷物をまとめていく。
その時間は、永遠のようで一瞬のようで、気味悪い魔法のように苦痛に感じた。
私は異常にどきどきして、せっぱ詰って、何を思ったのか彼からひったくるようにしてそれらを抱え、
「あのっ・・・あ、ありがとうございました!」
と言って、逃げるように店を出た。
「君!」となおくんが止めるのもおかまいなしに。