生きてるロボット
01が研究室から去った後、一本の電話がかかってきた。
「はい」
「もしもし?そちら、氷河 椿の研究所でしょうか?」
「はい」
「噂で伺ったのですが、心を持つロボットを作られたというのは本当でしょうか?」
それはマスコミからの電話だった。どこから嗅ぎつけたのか、ココロを持つロボットの完成を知っているようだ。
「あぁ、作ったよ」
「ホントですか!!明日、取材にうかがってもよろしいでしょうか?」
「来なくていいよ」
「そ、それは取材拒否…ってことですか?」
「ほかにどう捉える」
「そ、そうですか…分かりました。またお電話いたします」
「もうしなくていい」
彼女は相変わらずの対応だった。
「サルビア」
《はい、博士》
彼女が誰もいない研究室でサルビアと呼ぶと、機械的な女の人の声が研究室に響く。しかし姿は無い。それもそのはず。これも彼女の作り出した発明品だ。コンピューターや作ったロボットたちのプログラムからすべてが詰まった情報機だ。これは受け答えをし、コンピューターを指示通り中から操作することはできるが、ココロは無い。サルビアはあのロボットたちを作るもっと前からあった発明品だ。言うなれば、彼女のただ一人の助手だ。
「今の、ロボットたちの情報を教えてくれ」
《はい。今は、全員各自部屋にいます。》
「そうか。分かった」
外を見ると日はとっくに沈み、夜となった。彼女もいろいろあった今日は飽きたようで、自分の部屋に戻り、眠りについた。