ちょこれーと
マンションの前に公園がある
公園のブランコに誰かが座ってる
怖い
また冷や汗が出てくる
早く帰ろう・・・
「麻〜!??」
ふと、ブランコに乗ってる人が私の名前を呼ぶ
秀の声。
返事をしたいけど声が出ない
「おい!!麻どうしたんだ?」
秀が近づいて来る
「・・・」
「麻っ!??なんかあった???」
「・・・何にもないよ」
やっとの事で絞り出した声
2メートル程離れている秀に聞きとれるかどうかもわからない程の小さな声
秀の近くに居たくない
私はマンションを目指し歩きだした。
「いやっ!!!」
秀が私の手を掴んだ
さっきあった事を
思い出す
本当なら嬉しい筈の手
今は怖い手
秀はきっと私の帰りを待ってくれてたんだ・・・
5月の夜はまだ肌寒い
そんな中
どれだけの間待っていてくれてたんだろ
なのに
握られた手を振り払ってしまった
「麻のおばちゃんがさあ、飯用意して麻の帰り待ってるんだ。今から晩飯食いに麻ん家行くから一緒に帰らねえ??」
「・・・・うん。・・・・秀、待っててくれてありがと」
声が震える
「え!??別にたいしたことないよ!??」
「ごめんなさい。」
秀に聞こえない位の小声で謝る
「いーえ」