僕と翔太
 僕は、ただ、ぼんやりと雨の中を歩いていた。


そこに今にも倒れそうなほど衰弱している一匹の子犬と出会った。


「こんな所で歩いていたら、車に轢かれるぞ」


 その瞬間、昔のあの思い出が走馬灯のように蘇った。


「お兄ちゃん、これあげる」


 弟はブロックの一欠片を小さい手で握っていた。


「ありがとう、翔太はいつもやさしいね」


 弟の翔太はいつもお兄ちゃんの傍に来るような人懐っこい性格だった。
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