僕と翔太
「すみません……
ショウタ……
いや、今、中型の雑種犬を見ませんでしたか」


「いやあ、見てないね……
どうしたの? 
まさか居なくなったの?」


「すみません、他を探します」


 翼は旅館のスリッパを履いたままで
真っ暗な大雨の中へ急ぎ駆け出した。


「お客さん! 
一人でこんな大雨の中、探しに行ったら危険ですよ! 
戻って来てください!」


 旅館の支配人が大声で叫んだが、
今の翼には振り返ることもなかった。
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