Fahrenheit -華氏- Ⅱ
いや、いやいやいやいや……
これは―――どうすべき??
“ありがとね”って返すべき??それが大人の対処だよなぁ。
でもでもっ!俺の居ないところでそんなサービスしないでよ!そんな可愛い瑠華、誰かに連れ去られたらどーするの!!
って言うか他の男に見せるな!
とこっちが本音。
でもガミガミ言ったらきっと瑠華が鬱陶しがるだろうな…
おかげで真咲とのペアリングのことは、すっかり俺の頭の隅に追いやられたわけだけど。
ぐわっ!どーするべき!!
俺は携帯を握って一人で百面相。
「何してるんですか。相変わらず挙動不審ですね」と佐々木が訝しそうに俺を見る。
「佐々木クン、どーしよぉ」
俺は困ったような、泣き出しそうな複雑な顔で佐々木を見た。
「いえ、そんな顔で、どうしようって言われましても…僕の方がどうしようって感じですよ」
と、同じぐらい困った表情を浮かべる佐々木。
それから十分近く悩んだ末、
俺は携帯を手にして席を立ち上がった。